京都市では、空き家について気軽に楽しく学べるツールとして、「どうする空き家?カードゲーム」を制作し、令和7年5月から無料貸出を行っています。ゲームを通して、空き家に関わる事柄を「自分事」としてとらえ、「気づき」や「学び」を得てもらうことをねらいとしています。
これまで、地域の集まりや、京都市地域の空き家相談員、他都市行政機関など、様々な方からゲーム貸出のお申込があり、体験くださいましたが、中でも高校の家庭科の先生からのご相談を多くいただいています!令和7年度は、市外含め計8校の高校にお邪魔し、「どうする空き家?カードゲーム」を使った授業を行ってきましたので、授業の流れや様子をご紹介します。
INDEX
高校の家庭科授業で実施!事前準備編
<まずは打合せから>
授業の時間やコマ数、実施する場所、クラス数やスケジュール、どういった分野で取り上げたいか等について、京都市空き家対策担当者と先生とで事前に打ち合せをします。それぞれの学校の状況に応じて授業を組み立てますが、共通する主な実施ポイントは次のとおりです。


<実施ポイント>
・3~4名で1グループがベスト。授業前に事前にグループ分けしておくとスムーズ。
・机の上には、カードやプレイシートを並べるので、テーブルのスペースを広くとる方がよい。そのため、できれば教室よりも家庭科室等の大きめのテーブルがある場所で実施したい。
・ゲームのプレイ時間の目安は、1プレイ30~40分。
・ゲーム終了後の振り返りが大事!ゲームをやってみて気づいたこと、上手くいかなかった原因はなんだったのか、どうしていればよかったか、等を振り返る時間を確保しておく。グループ内で意見交換をしたり、全体共有をしたり、振り返りシートを記入する等。
・ゲーム性を高めるため、「利益率の高い人が勝利」としている。ゲーム終了後にクラス内の利益率トップを確認すると盛り上がる。
なお、家庭科の「住生活」の分野で取り上げるケースがほとんどでしたが、経済分野やSDGs等とも絡めた授業を行った高校もあります。
授業進行例
具体的な授業の進行事例をご紹介します。

50分間で実施する場合、かなりタイトになるので、授業が始まる前にゲームのセッティングをしておくとスムーズです。また、進みが遅いグループには進行を促すなど、タイムキープが必要です。

連続2コマ、計100分あると余裕を持って実施できます。なお、間の休憩時間は、ゲームプレイ途中で取ってもらうか、連続100分で授業を行い、授業終了後にまとめて休憩を取るなど、臨機応変に。(なお、間に休憩時間をとっても、生徒の皆さんはゲームに夢中でした。)

2コマ100分の授業パターン。カードゲームだけでなく、間取図を使ったワークショップを組み合わせて行うことも。
おおまかな授業の流れを写真で紹介



※授業時間が短い場合は、カードパックはこちらで選んだものを、授業前に先にセッティングしておく。

じゃんけんでスタートプレイヤーを決めてゲームスタート。








各高校での授業風景・生徒さんの感想
各高校では皆さん真剣に講義を聞き、ゲームを楽しんでくれました!
それぞれの授業風景と、生徒さんの感想を一部ご紹介します。
京都市立堀川高等学校
京都市立堀川高等学校では、令和6年度に引き続き、令和7年度も1年生の家庭科授業に空き家カードゲームを取り入れていただきました。先生も慣れておられたので、令和7年度は先生のみで実施されましたが、1日だけ、京都市空き家対策担当者もサポートで入らせていただきました。
50分授業×2コマ連続の【事例2】に近いパターンで実施されました。
令和6年度の実施の様子はこちら
生徒さんの感想(一部)
・空き家を売るにはかなりの時間がかかるのだと知った。しかし、ゲームでもそうだったが空き家相談員に相談できたら売ることも楽になりそうだと思った。
・ゲーム前では空き家は欠陥が多かったり、汚いというイメージが多かったり、なぜ空き家がここまで多いのだろう、はやくつぶしてしまえばいいのにと思っていたけれど、ゲーム後では空き家の大切さ、きちんと修理を行うと住めるようになるという気づきが生まれた。
・とても楽しく空き家について調べ知るよい機会になるので、もっとたくさんの人が遊べるようにした方がよいと思います!
大阪府立枚岡樟風高等学校
京都市外の高校からもお申込が!大阪府立枚岡樟風高校でも出張授業を行いました。
高校3年生のキャリアクリエイト系列「キャリアクリエイトⅡ」の授業で実施しました。
先生から、空き家カードゲームの貸出のお申込をいただいたことをきっかけに、カードゲームの普及啓発もかねて、お邪魔しました。事前のお打合せは遠方になるため、オンラインにて実施。生徒さんが楽しんで取り組んでもらえるように、ということで、【事例3】(50分授業2コマ:間取図ワークショップ+空き家カードゲーム)のパターンで実施しました。
間取図ワークショップでは、空き家の活用アイデアや改修プランについて、グループ毎に考えてもらい、ペットホテルとして活用する案や、飲食店として活用する案など、様々な楽しいアイデアがでました。
生徒さんの感想(一部)
・とてもわかりやすくて楽しかった。空き家を早く売ればいいと思っていたけれど直すのにたくさんのお金がいることが分かり、売るのは簡単じゃないことが分かった。
・ゲームの中ですら問題解決が大変だった。このゲームは普段気付かないようなところに気付かせくれて興味深かったです。
・むずかしいけど楽しかった。色々工事しないと売れないと知った。
兵庫県立長田高等学校
兵庫県立長田高等学校でも、同じく空き家カードゲームの貸出申込をきっかけに、高校1年生を対象に1クラスだけ出張授業を行い、以降のクラスは先生のみで実施されました。2コマ続けての授業でしたが、はじめの1コマでカードゲームを、2コマ目は先生主導で空き家活用ワークショップを実施されました。
生徒さんの感想(一部)
・ゲーム感覚で盛り上がりながら空き家について深く知れたので良かったです。空き家を見ると、どうして早く売らないのかなぁと思うことがあったが、書類手続きや親族の兼ね合い、設備の不備などの問題も多くあるのだとこのゲームを通して分かりました。
・早いうちから考えることが大切だと分った。楽しく空き家について理解できた。
・家の修繕をしつつさらに親族との話し合いや書類などの手続きもしないといけないので大変だった。あまり売却について考えてなかったけど、身近な問題だし今回楽しく空き家の売却について学べました。
先生からのコメント
多少複雑なルールでしたが、説明を聞いただけで完全に理解するというより、順番が回ってくる中で理解を深めながら進めている様子が見られました。日常生活では予期せぬ課題に直面しますが、15〜16年しか人生経験のない生徒には想像しにくい内容でも、家庭基礎の授業では当事者として考えさせる場面が多くあります。高校生は保護者のもと、与えられた環境の中で生活していますが、18歳で成人となり、卒業後は社会の一員としての責任を負う現実があります。今回のゲームは、普段は考える機会の少ない課題に仮想的に向き合う貴重な機会となったと感じています。貴重な機会をいただき、ありがとうございました。
京都市立美術工芸高等学校
京都市立美術工芸高等学校では、2コマを2日に分けて実施。まず1日目は空き家のリノベーションプランを考えるワークショップを、2日目にカードゲームを行いました。
この授業はケーブルテレビや京都市公式noteにも取材いただきました。
京都市公式noteも併せて、ぜひ、御覧ください!
生徒さんの感想(一部)
・想像以上に修理などにお金がかかったし、親族との話合いの進むスピードに差があるのがリアルだなぁと思いました。
・ワークショップもカードゲームも楽しかった!やりながら自然と空き家問題について考えていた。
・楽しく学べるのが良かったです。空き家を売りたい人以外に空き家のことを知らない若い人にやってほしいと思いました。
先生からのコメント
京都市の空き家対策を考えてみようと題して、住生活の授業を進めてきました。生徒たちは、「自分が住んでみたい空き家に」、または「みんなが住みたい空き家に」をテーマにリノベーションを考えました。この空き家対策を考える機会は、彼らが進路を考えるうえで選択肢が広がったように思います。
「どうする空き家?カードゲーム」は、生徒たちはもちろんですが、参観日に来られていた保護者の方々も参加され、授業時間ギリギリまでカードゲームに熱中されていました。充実した有意義な時間を過ごすことができました。
大阪府立北千里高等学校
大阪府立北千里高等学校からも、高校2年生を対象に家庭科授業で行いたいとのことで、カードゲームの貸出申込をいただきました。初回のクラスの授業のみ、京都市空き家対策担当者が出張サポート。その後は先生のみで実施されました。
50分授業×2コマでカードゲームを行う【事例2】のパターンで実施しました。
生徒さんの感想(一部)
・楽しかったです。もっと早く売ればいいのにとか、壊したらいいのにとか思っていたけれど、そんな簡単な問題ではないんだなと気づけた。このゲームを通して、自分も相続をするときにはもっと考えようと思えた。
・家の不備が悪化すればさらに手が付けられなくなるので、とにかく早く処理することが大切だと思った。空き家問題についてはいずれ直面することになると思うので、今のうちに体験できてよかったと思う。
・空き家を身近に感じたことがなかったので、放置すれば放置するほど修繕費などのお金が増えていくことが、当たり前ではあるかもしれませんが、怖かったです。手続きにもお金がとられることを知りました。さらに期限があることにも驚きました。
・普通の授業ではなく、カードゲームで学ぶことで楽しく学べて頭に入りやすかったです。
京都市立開建高等学校
京都市立開建高等学校では、高校1年生の家庭科授業で実施。20人毎に4日間に分けて行いました。今回の授業の前に、すでに住生活の授業で、空き家についても簡単に触れていたとのこと。
実施パターンは、50分授業1コマの【事例1】で行いました。
短い時間でしたが、みなさん楽しんで取り組んでいただけました。
生徒さんの感想(一部)
・想像していたより頭を使うゲームで、難しいけど楽しかったです。空き家は売るだけでなく、修理費や親族との話合いなど、問題がたくさんあると分かった。
・思ったより書類や家族の説得に時間がかかってしまうものだと気づきました。よく考えられていてゲームバランスもよかったので、楽しかったです。
・新しいゲームで楽しかった。難しかったけれど空き家を身近に感じられた。空き家の問題をもっと色々な人に知ってもらうべきだと思う。
・相談員のタイルを使うことでその先のゲームを有利に進めることができたので、相談の重要性を知ることができた。
京都市立紫野高等学校
京都市立紫野高等学校では、高校1年生の家庭科授業として、クラスごとに実施しました。
50分授業×2コマの【事例2】のパターンで実施。事前の先生とのお打合せで、住居分野の授業という位置づけだが、消費経済分野とも絡めたい、とのご希望があったため、ゲームプレイ前の空き家についての授業では、経済やSDGsと空き家を絡めたお話をさせていただきました。
生徒さんの感想(一部)
・売却することがどれだけ難しいかよく分かりました。たくさんお金を使ってしまいがちなので計画を立てることが何事にも大事だと思いました。
・考えることはたくさんあったけれど楽しみながら空き家の大変さが分かった。早く修理することによって後々が楽になる、早く対処したほうがいいと気づきました。
・空き家を売るにあたって、色々な費用がかかると分かったし、持ち続けても税金がかかると分かった。
・とても勉強になりました。「空き家」といわれたらあまり想像できなかったが、少し理解を深めることができました。
・売る時期によって、例えば売るのが遅いと状態が悪化してその分修繕費用が高くなってしまったり、放置すればするほど解決するのが難しくなってしまうのだと気づいた。それぞれのアクションのタイミングが難しかったけれど楽しく学べた。
京都文教高等学校
私立の学校からもお申込が!京都文教高等学校では、高校1年生の家庭基礎の授業として実施。
先生とのお打合せで、「教科書でも記されているが日本の住宅事情や住まい手、所有者の責任、中古住宅を流通する意義についても触れてもらえるとありがたい」とのお話だったため、間取り図を使ったワークショップとカードゲームを組み合わせた【事例3】のパターンで行い、ひととおり説明したうえで、理解を深めていただきました。
またこの授業を学校のインスタグラムでも取り上げてくださいました。
生徒さんの感想(一部)
・空き家を売る難しさや親族関係にも対応しないといけず、思っているより大変だということを知れた。
・今は自分にはあまり関係が無い話かもしれないけれど、いつか直面するかもしれない問題なので、空き家について学べてよかったなと思いました。
・今回遊んだゲームを家族とやってみたいなと思いました。空き家対策はとても難しいことだと分かりました。
・空き家の現状についてよく分かったし、その空き家を売るためにリフォームしたり書類など、とても大変なことが伝わってきた。
・売るためにも多くの苦労があるし、自分にお金が戻ってくるようにするには、早めの対処が必要だと思った。空き家があると危ないという印象でしたが、リノベーションをすることによって、環境や地域に役立てることもできるんだな、と思いました。
空き家カードゲームを授業に取り入れてみませんか?
いかがでしたか?単なる座学ではなく、「カードゲーム」というツールを使うことで、自ら考えて気づきを得ることができる、と学校の先生からも好評をいただいています。 高校生など若い方にとっては、自分が家を持っているわけでもなく、空き家問題や相続問題は身近に感じにくいかもしれません。しかし、将来自分が家を持つときには住まいの将来を考えておく必要がありますし、自分の親が空き家や相続に関する当事者になった際にサポートする場面が出てくるかもしれません。だからこそ、京都市空き家対策担当としては引き続きこのカードゲームを活用して、若い世代に対しても啓発していきたいと考えています。生徒さんが授業の内容を家に持ち帰り、家族で住まいについて話すきっかけになれば嬉しく思います。



「どうする空き家?カードゲーム」は無料貸出を行っております。高校の授業や大学ゼミでやってみたい、などのご相談もお受けしており、当面の間は日程などの都合が合えば、市担当者がサポートで入らせていただくことも可能です(*)。気になった方、カードゲームを授業に取り入れてみたい学校の方、一度試しにやってみたいという方、ぜひ一度、京都市住宅政策課空き家対策担当まで、お気軽にご相談ください。
(*)市担当者がお伺いしてのサポートは京都市内にある学校を優先させていただいておりますが、必要であればゲームのルール等をオンラインで説明することも可能ですので、まずはご相談ください。なお、これまでの先生方からのご要望を受け、今後、市のサポートなしでも独自で授業に取り入れていただきやすくするために、進行マニュアルの作成や授業用パワーポイントなどの各種資料提供等も検討中です。
<お問合せ先>
京都市住宅政策課空き家対策担当
E-mail: [email protected]
電話:075-222-3667
※無料貸出の詳細はこちら
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「おしかけ講座」では、空き家カードゲームを使った講座メニューを令和8年度から新たに追加しました。ゲームプレイ後には、専門家(地域の空き家相談員)による、実務を踏まえた解説も行います。
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