戸建てをどうとらえるか?
Aさん
一方で中古住宅(ユーズドハウス)はどうでしょうか?
秋山さん
ちょっと大雑把な言い方になりますが、「あたりはずれがある」のが戸建てです。マンションは比較的品質が一定なのに対して、ユーズドハウスの場合は極端な話「欠陥住宅」を引いてしまう可能性もあります。めぐりあわせですね。同じ施工者が建てた家でも住んでいる人の使い方によって家屋の状態は変わってきます。
リフォームして、見えるところは綺麗にしているけど、見えないところはわからないので後々瑕疵が発見されるケースもあります。
ちなみにユーズドハウスの場合は管理費や修繕積立金を毎月支払う必要はありませんが、当然ながら自分で改修計画を立てて必要な時期に改修する必要はあります。
逆に自分なりに自由に改修、改装工事が出来るのでマンションより自由度が高いのはユーズドハウスのメリットではないでしょうか。マンションの改装工事の場合、管理組合に改装工事の承諾を取らなければ工事ができません。例えば、フローリング張替え工事でも遮音等級が決まっていますし、玄関扉やサッシも自由に交換できません。一方、ユーズドハウスは予算次第で新築並みにそれ以上にリノベーションできますし、室内はもとより外壁や屋根の素材や色目も選び放題です。庭木の入れ替えや外構工事、カーポート設置と多岐にわたるので唯一無二のこだわりを反映させられるので愛着も沸くと思います。

Aさん
耐震や断熱は大丈夫ですか?と聞かれることもありますよね。
秋山さん
ありますね。その時は「わからない」と率直に言います。正直なところ建築士に聞いてみないとわからないんですよね。やっぱり断熱や耐震が心配だという方には、改修工事をしてみては、という提案しかできないです。

Aさん
どうやって調べるんですか?
秋山さん
専門家に住宅の劣化や不具合を調査してもらう、いわゆる「インスペクション」をしてもらいますね。ただ、構造を見るためには壁に穴を開けないといけないこともあり、売主側から嫌がられることもあります。補修費用は買主側が払うのが通例ですが、そもそも売主さんの協力が得られないというケースもあります。京都市の木造住宅及び京町家の耐震診断士派遣事業を利用されると良いと思います。
ちなみにハウスメーカーなら改修履歴がある場合もあります。企業にもよりますが、20年未満だったらアフターサービスがついてくることもあります。
Aさん
それは安心ですね。
秋山さん
令和2年の4月に施行された改正民法で、以前の「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」に改められました。宅建業者が売主であり、引き渡しから2年間は契約書の内容と適合しない物件を売った場合に売主が責任を負う必要があります(民法第562条、宅建業法第40条)。
不動産業者が加入する「中古住宅瑕疵保険」という中古住宅の保険もあります。売主が宅地建物取引事業者の場合に加入する保険と、売主が個人で個人間で売買する場合に加入する保険があり、後者が「既存住宅個人間売買瑕疵保険」と呼ばれています。しかし現実的に住宅瑕疵保険に加入できない物件も多数あります。購入前に住宅瑕疵保険に加入できるか否か保険会社に確認されるのが良いかもしれません。